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平成29年度岡山理科大学プロジェクト研究推進事業


乾燥耐性生物に着目した生体分子保護機構の解明とその応用


研究メンバー  森田 理日斗、福井 康祐、猪口 雅彦、南 善子 (理学部生物化学科)
共同研究  石井 一夫 (久留米大学)、桑田 啓子、佐々木成江 (名古屋大学)




  極限的な乾燥ストレスに晒されても、耐乾燥性の乾燥体 (休眠状態) へと形態変化することで、一時的に代謝を停止し生命を維持する生物が存在する。この乾燥体化のメカニズムには、浸透圧変化への適応や、細胞内のタンパク質の安定化など、重要なストレス適応機構が内包されていると考えられる。そのシステムの解明・応用を目指し、器官分化しない多核単細胞生物である真正粘菌 Physarum polycephalum を用いてトランスオミクス解析を行い、機能分子を特定する。 トレハロースや LEA タンパク質の蓄積を足掛かりに、乾燥体化の鍵酵素の機能解明を進め、LEA タンパク質の植物への影響も解析する。その成果を工業的な酵素反応の安定化等へ応用する。















研究概要と進捗状況



* 真正粘菌

 我々は、乾燥耐性メカニズムの解明と応用を目指し、真正粘菌 Physarum polycephalum を用いて蓄積分子の特定を試みている。現在すでに LEA タンパク質等の蓄積や、二糖類であるトレハロースの蓄積の確認に成功している。さらに、トランスオミクス解析を進めており、網羅的な機能性分子の同定を目指している。
 現在、暫定的な結果ではあるがプロテオミクスの結果から、乾燥体化により多くのタンパク質の発現量変化が確認できている(図1)。代謝系酵素の増減が最も多く、また、分子シャペロン等、タンパク質の品質管理に関わると推定されるタンパク質の増減も多く観察された。


図1. 発現量が変化するタンパク質


 久留米大学の石井一夫先生との共同研究により、RNA-seq によるトランスクリプトミクスを行っている。現在の暫定的な結果では、110326 種の断片が検出され、23184 種が 2 倍以上の増加を示し、52294 種が半減以下の減少を示した。真正粘菌においては近縁な生物種のなかでよく理解されている生物種は存在せず、現在各遺伝子機能の推定が困難となっている。現在、RNA-seq の精度を上げる試みと、遺伝子機能の推定に取り組んでいる。また、機能が推定でき、転写量変化が大きいいくつかの遺伝子については、RT-PCR を行い、その正確な転写量変化について解析している。
 トレハロース量変化についても解析を進めている。本研究により、乾燥体化でトレハロース含有量は通常の 340 倍以上増加することが明らかとなった。乾燥化で急激にトレハロース量が増え、再水和により復帰する過程では 24 時間以上かけてトレハロースが減少する傾向が掴めている。また、トレハロース代謝に関わると推定される 4 種の遺伝子についてクローニングに成功しており、2 種については速度論的な解析が済んでいる。



* 植物

 植物の種子中には LEA タンパク質が豊富に含まれ、種子の乾燥耐性に関わっていることが知られている。我々は LEA タンパク質と、種子の休眠と発芽誘導の関連について解析を進めている。モデル植物であるシロイヌナズナの種子を水に浸漬し、32℃で二日間インキュベートした。無処理では全種子中一部のみが発芽しているが、発芽誘導剤処理区ではほとんどの種子が発芽している(図2)。

図2. 発芽誘導剤処理
















研究業績



* 学会発表

HTL/KAI2 を活性化する新規物質の合成探索 福井康祐、浅見忠男、林謙一郎、2017年度植物化学調節学会 10月 (鹿児島)

真正粘菌 Physarum polycephalum におけるトレハロース代謝経路の解析 岡野将平、森田理日斗、南善子、2017年度生命科学系学会合同年次大会 ConBio2017 12月 (神戸)


























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